バイク 菜根譚

この記事は

菜根譚と書いてサイコンタンと読む。古くは昔の中国の洪自誠氏が書き連ねた一言豆知識みたいな書籍の名前なのだが、バイクに乗り始めて幾ばくか経過したのでこのタイトルを借りて記録しておきたいと思う。今のところは乱雑にしておくが、そのうち整理する。

目次

戒め

運転者と車両保全

情報収集

携行品の考え方

運転計画

天候

運転論

体力回復と健康面

経験則

戒め

・ニンゲンというもの、どうしても自分の持ち物や出来事を自慢したいがゆえにこれまで学習してきた知識や武勇伝という経験をひけらかしたくなるものである。そういう物は話したくてもグッとこらえて置くのが紳士・淑女であり、もしそれを聴いてもかつて自分も通った道/通っていた道であったとしても「さすが」「しらなかった」「すげえ」「せやな」「そうだね」と返すのが礼儀である。

運転者と車両保全

・身につける装備品についてまずはヘルメットとグローブをどうにかして揃えよう。ヘルメットは予算の限りを尽くして選ぶべきだが、グローブは消耗品に近いので最悪軍手でも構わない。次に揃えるべきプロテクターはあまり予算がなければ、まずは通年物か夏物を揃えよう。少なくとも夏物を揃えることができれば持っているであろうアウター等と組み合わせれば春秋冬も賄える。
・駐車する際はあらゆるエアコンの室外機の前に止めてはならない。タイヤの劣化が早くなる。ただし冷間始動などにより少しでも温度を稼ぎたいなど理由がある場合はその限りではない。
・おそらくスパークプラグはミッションオイルの次ぐらいに寿命が短い。何にせよまずは自車のスパークプラグの型番と交換方法を確認しておこう。そして代替品と交換ツールを確保して旅先でも自力で交換できるようになっておこう。
・パニアケースは通常時では積載や防水区画の役割を果たすが、転倒時には車体へのファーストインパクトの軽減という役割もあるため、頑丈なものを選ぶほうが良い。
・バイクも乗り慣れてくるとチェーンの問題やスパークプラグの問題に当たることになる。どこまでを自分でやるか、どこからバイク屋に任せるか、その切り分けをしておくと自身のレベル把握にも役立つ。
・チェーンに対するオイルの供給は、泥や錆びなどの汚れやチェーンの正常動作に対しての問題に抗うために行われるものであって、それを塗って得られるものは基本的にパーツ本来の能力と寿命を延ばすことにある。
・走行中に運悪く荒天に見舞われてしまった場合、舗装道路上を走っている場合は車線が認識できる程度まで速度を落として走ること。明らかに砂利場などの舗装状態が悪い場合は、できるだけ雨の当たらない場所を探して停車しよう。バイクより身の安全を計るほうが優先である。
・急停車時に後輪ロックさせてしまったらできるだけ慌てずに前輪の制御を意識すること。余裕があれば後輪ロック状態を解く。止まるまでに何も起きないことを祈る他ない。
・前輪ブレーキは死ぬ気で握ってもロックしない程度にしておくことが肝心である。最悪後輪ブレーキがロックしても滑ったり動力が使用できない程度だが、前輪は回転しないと方向制御できなくなる。ただしABS搭載車は別。

情報収集

・掲示板や立て看板、道路案内板などに気を配らないと臨時の交通規制で遠回りするはめになる。
・インカムをつけるならイヤホンタイプなら片耳、できればスピーカータイプの方が良い。道路交通法その他の法律を根拠とした警察の命令により車両を停止させなければならない場合、指示が聴こえない状態だと捕まる、もしくは後日出頭の恐れがあるため。
・インカムを付けてどうしても音楽やラジオを流したい場合は、自車のエンジン音がぎりぎり聴こえる程度に抑えるべきである。
・地域のラジオ局の音声のほうが得られる情報は多い。ただしAMラジオ・FMラジオはバイクとは相性が悪いのでradikoなどの音声配信サービスを利用することになる。NHKラジオの流しっぱなしでも良い。
・当たり前だが、バイク運転中はバイク運転以外の機器の操作は事故につながる恐れがある。停車し安全な位置で情報収集を行う。

携行品と考え方

・バイクはクルマより不便ゆえに工夫が必要になる。規格の統一や2通り以上の使い道を考えて揃えるべきである。
・バイク旅ではできるだけものを持ち運ばず、貴重品は身につけられる程度にしておくほうが良い。多機能で高性能な物品はたしかに便利に違いないが、バイクの発電量や大きさによってはコストのほうが高く付くことのほうが多い。
・身の安全を計るものを除いて、旅先で代替品を購入できる程度の品質を使いこなすことこそ最適である。ライダーはミニマリストたれ。
・常に最小構成を心がけつつも、性能維持に負担がかかりにくくできるだけ値段の張る高い機材は使用しない。
・どんなに資金をつぎ込んでも自分のスタイルを突き詰めた結果、100円ショップですべてが揃ってしまうこともある。 あるいは自ら学び、作り出せてしまうようになる。
・バイクが発電できる電力は決してクルマよりも多くはないが、それでもテント生活できる程度には発電できる。それを無駄なくモバイルバッテリーに充電していくことが大事。
・電源が必要な設備ではシガーソケット運用かつ電源系統はできるだけ同じ種別のケーブルで賄える運用を心掛けるべし。とはいえ、あえて変換コネクタの類を用いて多様性を持たせておく工夫もできる。
・地図をはじめとしたナビゲーションは使用条件が多いものはできるだけ省くべきである。例えばスマホで標準搭載されているマップ機能は通信機能の途絶やバッテリー切れで使用不可となる。どうしても必要であればそれを補える工夫をすべきである。(補足:2021年11月時点ではGoogle Mapはオフライン機能として最低限マップデータを保持する機能を持つ。YahooカーナビやiOSのMapsは不明)
・バイクの仕組み上、磁気コンパスは全く役に立たないため、移動通信網のシステムに頼れない状況下でも、GPS等による位置測位システムによって方位を確認できる手段を持ったほうがいい。
・今日電子機器を使用しないで旅をすることは苦行に近い。電子機器を運ぶには何にせよ防水区画を設けないと使用不能になる。これは例えばビニール袋を多重に被せる等でも構わない。(荷台に積載できる場合、ビニール袋1枚めで雨の勢いを弱め、2枚めで貫通を防ぐのだが、入れ方次第では長時間持たない。吊り下げ積載の場合は更に1枚必要と言える)
・鞄は絶対に泥で汚れるので耐水性があるものを据え付けておくとシャワーで洗いやすい。化繊素材なら思いきってグリーンランドワックスなどを使ってパラフィン加工(防水加工)してしまうのも手。
・曇り止めや水滴を弾くスプレーは、降雨が始まった後に付けたのでは遅すぎる。そして吹きかけるだけでなく伸ばさないといけないため、毛羽立ちやすいティッシュペーパーよりはキッチンペーパーのほうが良い。これはレストランやマクドナルドのおてふきのような紙タオルでも構わない。紙か布かは好みの問題だが、布製品は洗いもので気をつけなければならないため、よく選んだほうがいいだろう。(宿泊先の乾燥機で発火はツライ)
・泊まったホテルで新聞朝刊の配布サービスがあったら読む目的はなくてもとりあえず戴いておく。乾燥剤代わりや断熱材代わりなど結構活躍できる。もし不要であればお礼とともに部屋に置いていけばいい。
・雨具をつける順番はブーツカバー→パンツ→アウターの順。より正確にはブーツカバーは雨具の下に潜り込ませるように着けないとブーツの中が水浸しになる。もちろんアウターの裾をパンツにしまうと防水効果は無いようなものとなる。
・旅装を解いた後はまずブーツと手袋、ヘルメットのなかを乾かすことが肝心である。湿っている部分が露出しにくく乾燥しにくいからである。これを怠るとどんどん状態が悪くなり、物持ちが悪くなる。最も良い方法は100均やスーパーマーケット等で購入可能な乾燥剤(乾燥剤であれば何でも構わない)だが、宿泊施設等では個人用の空気乾燥機の設置が場合もあるのでまずはこれらの乾燥に使用する。衣類の乾燥、部屋の換気はその後。調達が難しければコンビニで新聞紙を買おう。
・荷物の積載について学習しておきたいのはボストンバッグとロープでの方法だろう。この組合せは日本全国ほぼ購入可能であり、唯一実現が見込める。
・ドラレコなどにより旅の記録を残すのなら、どんな低スペックでも必ずノートPCとドラレコの記憶より10倍程度以上の十分な記録媒体は持って運ぶべきである。
・パラフィン加工は最低限ロウソクとドライヤーがなければ安全に加工できないため時間があるときかどうしても必要になったタイミングでないと無駄になる恐れがある。なお、この加工を行った物は火気厳禁である。

運転計画

・信用してはいけない車種やナンバープレートはいくらでもあるが、一番危険なのは自身の過信である。
・荒天、夜間、不馴れな道のうち2つ以上重なることが事前に判った場合、その行程を見直すべきである。
・バイク旅において宿泊地到着後もある程度与力を残せる最大の走行距離は300km程度と見積もる。これには具体的な理由はないが、速すぎると走行風で疲れ、遅すぎれば時間的制限と気だるさにやられる。
・宿泊地を選ぶときは最寄りのガソリンスタンド、バイク修理工場、バイクパーツを入手できそうな店舗の他、100円ショップとホームセンターの位置ぐらいは調べておこう。
・バイクはある程度の馬力があれば、峠でミニバンなどの自家用車をごぼう抜きすることは非常に簡単な乗り物であるが、それ以外はバイクの性能による。むしろ後ろから距離を取って追跡していくほうが無難である。
・夏場昼は暑さを避けるためにあえて峠を進み、夜は市街地を進行すべし。
・氷雪路走行用装備のないバイクを走らせるとき、気温4℃を下回るエリアを日の出ていない間は走行してはいけない。
・20代までの若いうちは気合と根性のようなものでなんとかなるが、30代になってくると世間で言われるように夜通し走り続けることは体力的な面で困難になる。
・種類の異なる2台以上のバイクで移動を行う場合、休憩ごとに次の集合場所を決めながら走るほうが良い。どんなに頑張っても巡航60km/h・高速100km/hが上限で、それ以上の速度で走る場合コミュニケーションシステムに問題が発生する(ハンドサインが見えない、ヘルメット内を駆け抜ける送風であらゆる音声回線が聞こえづらくなる)

天候

・天候を読むにはまずは見た目で雨雲・雪雲を判断できるようにすること。行程上雨雲下に進入する場合でも直前に措置を行うかそうでないかによって快適度は違う。
・ヘルメットに防滴措置を施していない場合、降雨に遭った時点で視界不良になる恐れがある。また、ヘルメット内の空気の循環が良くない場合、モヤで視界不良になる恐れがある。
・日本においては低気圧は西から東へ流れる。ゲリラ豪雨は時間が経ってもその場にとどまることが多い。天気予報サイトの雨雲レーダーをうまく活用しよう。
・標高が高度な山脈群の南東側では夏場はゲリラ豪雨、冬は吹き下ろしの風と悪天候になることが多い。また西側に水源があり昼間が比較的暑かった場合も局所的に雨が振ることがある。
・日本海側は夏を除いて風が吹いているか総じて太陽がでない天気であることが多い。
・急な天候の変化により視界不良などの理由で、車線の幅・前走車のテールライトが視認できない場合はハザードランプを出しながら左側に寄って運転した方が良い。

運転論

・誰よりも早く発進し誰より早く赤信号で止まるよりも、一度も足をつかずに制限速度を程々に守って走り続けるほうがリスクも少なくかつ得るものも大きい。(一般道ではクラッチ操作が非常に面倒な割にバイクのサイズや運行理由からすり抜け重視でこれを知らない人が多い)
・砂地や濡れたマンホールに前輪を向かわせてはならない。万が一そうしなければならないときは車体を垂直にせよ。さもなければ転倒するだろう。
・リーンウィズ・リーンインでないとバランスが取りにくいバイクを除いたとき、リーンウィズの次に極めるべきはリーンアウトである。大体のコーナリングはそれで速く回れる。また、タイヤも良い感じに削れる。
・対向車線が比較的大きな車両でその後ろの様子が見えない場合は基本的に徐行すべきである。また合流車線で背の高い車両が見えている場合でもその前後に車両が走っていないとは言い切れないのでトラックと同程度の速度を保ちつつ自車線前方車両と車間距離を保つべきである。
・天気の良い日にトラックを追走するときは大手企業、精密機器配送中表示で単独走行中の車両がよい。大手企業のトラックは排ガスを気にするが、他の企業は利益を気にする。ディーゼルや古い型のトラックでは排ガスで結構汚れてしまう。
・天気が悪いときは天気の良い日より車間を保ってゆっくり走行した方が良い。前走車が巻き上げた飛沫が視界を遮る。
・バイクのエンジンを停止した状態で押して歩いている運転者は歩行者扱いである。うまく使い分けれるとクルマより行動の自由度が格段に拡がる。ただしその範囲はプライドによる。

体力回復と健康面

・走行中は絶対に腸の部分だけは冷やさないようにすること。具体的には走行風を当てない・腰巻きを付けて保温する、など。
・ハンドルを握る手がバスケットボール等をつかむような感触になっている場合、確実に全身疲労状態にあるため、意識を保てている間に安全な位置に停車、横になるかどこかに寄りかかって20分程度目をつぶって仮眠するべきである。そのまま走行するとマイクロスリープで無覚醒無意識走行となり転倒もしくは衝突の恐れがある。
・疲労時の回復はカフェイン含有の栄養剤他ビタミン系、クエン酸、タウリン、アルギニン・シトルリンを含む飲料を同時に取るほうが効果は高い。ただし遅効性である。
・バイクを長時間乗らなければならない場合、必要に応じてカフェイン・タウリン・アルギニン(L-アルギニン)もしくはシトルリン(L-シトルニン)を摂ると良い。これらは一時的に全身の血管を拡張し血流量を増加させる効能がある。ビタミン、アミノ酸等を効率良く全身に配送できるわけである。とはいえ、カフェインはともかくタウリンは某栄養ドリンク、アルギニン・シトルリンは自販機ではKIRIN Metsの黄色缶などでしかとることはできない。コンビニなどでは一部ゼリー飲料に配合されていることがある。
・ツボやリフレクソロジー(反射区)は根拠はないものの効果があることもある。ツボで言えば太陽、肩井、足三里、湧泉に湿布を貼って寝ると体調に変化があることが多い(会陰というのもあるが、別にやらなくても良い)。足裏は小腸あたりと胃から心臓と胃から肝臓の片足あたり二枚貼っておくと良いかもしれない。
・寒冷地等でカイロを当てるなら肩井、足三里、湧泉のツボが最適で血管に沿って暖気が配送できる。ほとんどの製品では太股部に配置されているがここは人によって当たり外れがあるため、比較的当たり外れのないふくらはぎや脛上などの筋肉に当てた方が効果がある。
・バイク旅以外でもそうだが、炭水化物は朝昼中心にして、夜はタンパク質脂質を中心にすると太りにくい。つまりラーメンツーリングでも夜はラーメン食べるなら夕方ぐらいまで、ということである。

経験則

・バイクはどんな日和でも辛いことはある。それでも好きに乗れる自由さはどんな車種にも負けない。
・下からの水攻めには無防備かもしれないが、それでもゲリラ豪雨のなかでも走れるのがバイクである。
・バイクは衝突しても転倒しても走行再開できる可能性は残されているが他の自家用車ではそうはいかない。
・バイクはめんどくさいが有事の際の面倒は比較的軽傷で済みやすい。

履歴

2023/01/05 全体的な校正
2021/07/28 初版

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