セロー250(JBK-DG17J)と電源トラブル、その分析

ついにこのときが来たか。
2022/05/08(日)時点である程度解決を見ており、様子監視中。



■新車より90000kmを共にしてきたカモシカ先輩。

■2021年秋早朝、東北のあるビジネスホテルから発進しようとしたらエンジン始動できない。
・20km/hの押しがけでも掛からない。
・結局ホテルの室外機の暖かい空気を使って少しでも車体全体の温度を上げる。
・結局気温が上がるのを待って発進。

■上記の事象から2021年12月にMFバッテリーは交換。一時的に解決する。
・日本GSユアサから台湾ユアサのバッテリー。品質的には問題ないらしいが…
・このときに新品に変わったのは本当にMFバッテリーのみ。

■2022年01月も末、走行を繰り替えしてもMFバッテリーに充電されない事に気づいた。
・押しがけスタートが効くこともあったが、ダメなときはエンジン始動しない。そして始動しなくなる。
・エンジンがかからないときのバッテリーの電圧をdIAGでみてみる→11.4V
・エンジンがかかるときのバッテリー電圧をdIAGでみてみる→11.8V
・とりあえずトリクル充電と機材を持ち歩きながら日々しのぐ。

■2022年02月、バイク屋(ヤマハエリアサービスショップ)にて電装確認を依頼する→全部異常なし。
  エンジン始動中の電圧値13.5V、レギュレータ/レクチファイアの電圧値→メーカー既定値
・チェックしてもらったけど原因特定に至らず、一旦放置 → 帰って測ると電圧降下している(dIAG値11.6V)
・遠出は止めて近隣で経過観察がてら走行、そして行き先でトリクル充電する。

■2022年03月、ホムセン箱にU字金具を取り付けながらふとデジタルテスターで測ったバッテリー電圧値12.1V
・エンジン始動させてテスターで測ったバッテリー電圧値13.5V、バイク屋が確認した内容は正しいと裏付ける結果に。
・スパークプラグの走行距離寿命になったので交換 → 状況に変化なし

■2022年03月末、とうとう走行中に失火、エンストする。一般道上なので歩道に乗り上げて事なきを得る。(dIAG値11.4V)
・セルモーターは元気に回るもエンジンはかかってからエンストする。
・トリクル充電キットは持ち運んでいたので即座に充電開始、dIAG値12.2Vまで充電して帰路につく。
・帰宅したがなんとなくそのままエンジンをかけっぱなしでアイドリング時の電圧をテスターで測る→11.8V
・エンジンを止めてからdIAG値確認→11.7V
・エンジン再始動してテスターで電圧を測る→12.1Vからずるずると11.8Vまで落ちる
・そのままスロットルを動かしてみる→テスターの電圧値も上下する。


□ここまでの話を元に仮説を立ててみる。
・通常エンジン始動/コールドスタート では エンジン始動のために消耗した電圧を回復させる動きを取る(13.5V値)
・エンジン始動/再始動 では 電圧回復は行わない(12.1V)。エンストを人為的に頻発させるのを推奨しないのはこの動きのためかも知れない。コールドスタート並の充電は実施されない。とはいえ、以後走行中に必要な電圧は充電されるはずである。
・走行に必要な電圧は随時計算されるものではなく、固定値と推定。アクセルのねじり方、シフトなどスパークプラグは影響しない。
・dIAG値は始動電源確保や各種テスター機能の有効化のため0.5V程度サバ読み(少なく表示)することがある。



■2022年04月、行く先々でデジタルテスターを使って電圧確認しながら都度トリクル充電する日々。
・MFバッテリーはトリクル充電によりテスター値で13.5Vまで昇圧でき、異常なし。
・ACジェネレータおよびレギュレータはヤマハエリアサービスショップでの検査により正常判定、異常なし。
・アイドリングrpm値の低下を疑い、dIAG/C1の確認 → 1250〜1570rpmをぶらつき正常、異常なし。
・ハーネスの経年劣化の指摘を受けるが、充電は正常に機能しているため充電回路上のハーネス劣化は除外。
・サービスマニュアル(DG11J/DG17J)の電装回路図を読んでみて、スタータリレー内ヒューズに着目。
・ヒューズの特徴として、連続通電時(走行時)は容量の70%以下の負荷率で運用されることが好ましいとなる。また、長期間使用すると劣化する(徐々に溶断する:痩せる)。
 〜引用ここから〜
 ヒューズの耐久寿命特性は、負荷率、電流波形、周囲温度などの影響を受けます。
 (途中略)
 車両メーカーから要求される必要耐久回数以上の寿命を発揮できるように容量設定する必要があります。連続通電の場合には70%以下の負荷率で使用することが薦められています。
 〜引用ここまで〜
 引用元:https://www.pecj.co.jp/fuse/outline/p3.html (太平洋精工HP)
 
 〜引用ここから〜
 ヒューズは通電することでわずかながらも熱をもち、この熱によって酸化し痩せてしまう。特に細くなっているエレメント部は電流が集中するため高温になりがちで、劣化が進行すると最終的には設定以下の電流で切れてしまうような事態に繋がりかねない。またヒューズボックスのコネクタと接触している端子部分も酸化して接触抵抗が増加していることが多く、これらが重なると機器に十分な電気が流れなくなってしまう。
 〜引用ここまで〜
 引用元:https://magazine.cartune.me/articles/4490#anchor2 (CarTune HP)


■2022年04月末、MFバッテリーに十分な電力があれば長距離走行可能であることに気づく。
・夏日に近くなった日は正常に充電された。(テスター値13.2V)
・高速走行してもMFバッテリーの電圧はあまり下がらない。しかも時々充電され、走行時に異常は見られない。
・少し気になるのはエンジンのかかりが少しおかしい(セルを2、3回回す音がして始動する)のと、USB電源などの電圧変換機器(12V→5V)は、充電が給電に、カメラ等は再起動を繰り返すなどの挙動になる。ただしスマホ1台だけつなげると充電できることもある。

□2022年05月、最初の一手としてスターターリレー内ヒューズ30A交換
・全てのデータ値が正しい前提の場合、発電系(ACジェネレータ、レギュレータ/レクチファイア)、各種ハーネスに異常はない。スタータリレー内のヒューズの劣化が原因と推定できる。
・この事象はMFバッテリーの劣化による新品MFバッテリーへの交換(バッテリー劣化分の電圧値回復)により、更に促進されたと考えられる。
・ヒューズの溶断が進んだ場合、当然電気の通りも悪くなるためそれが電流値として現れることになる(推定)。この影響は電圧変換機器が受け、例えば12W(=5V/2.4A)が必要となるため、12Vから変換する場合に1A(=12W/12V)の電流値を必要とする。これが何らかの理由により電流値が降下し、6W(=0.5A/12V)しか供給されない場合、USB電源では1.2A(=6W/5V)しか出力できない。



■2022年05月上旬、スターターリレー内平型ヒューズ30Aだけを交換 ・エンジン始動は変わらず成功する。
・明らかにアクセル操作に対するレスポンスが違う。(トルクが上がった気がする)
・USB電源等も正常にスマホ2台が充電可能。
・アイドリング時は相変わらずテスター値で電圧降下が見られるものの、それでもエンジンは始動可能。




□参考 ・おそらくこの方々と同様の症状だと思われる
 →セロー250スターターリレー交換 ラオのブログ(2021/06/08)
 →セロー250 シャットダウン! 日々是精進~ツーリング&キャンプ!~(2022/06/18)
・セロー250のアイドリング調整方法
セロー250のアイドリング調整(タコメーター表示) セロー250カスタム日記帳(2010/09/21)




□予備知識
・DG17Jのスターターリレーに挿入されるヒューズ: 平型ヒューズ30A(エーモン)、このヒューズを交換するには1.シートを外す、2.車体右側パネルを外す、3. バッテリーをプラス→マイナスの順で外す、4.スターターリレーをほじくり出す の四段階が必要。

・セロー250(DG17J)におけるdIAGの電圧値の出し方:
 1. 始動キーをOFFにする
 2. SHIFTキーとRESETキーを押しながら始動キーをONにする
    SHIFTキーとRESETキーは10秒程度押しっぱなしにする。dIAGが表示されたら離す。
 3. 再度SHIFTキーとRESETキーを同時押しし、d01が表示されるまで押し続ける。  4. SHIFTキーでd09値を出す。

・セロー250(DG17J)におけるdIAGのタコメーターの出し方
 1. 始動キーをOFFにする
 2. SHIFTキーとRESETキーを押しながら始動キーをONにする
    SHIFTキーとRESETキーは10秒程度押しっぱなしにする。dIAGが表示されたら離す。
 3. SHIFTキーを押してdIAGをCoに変える。
 4. 再度SHIFTキーとRESETキーを同時押ししてC1に変わるのを待つ。
 4. エンジンスタートスイッチを操作し、エンジンをかける。




更新:
2022/05/08 状況の更新と文章の軽微な修正
2022/05/06 状況の更新と文章の軽微な修正
2022/04/26 文章の軽微な修正
2022/04/17 オリジナル



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